2022/04/13 19:51



「気候変動スクール」では、インドネシアの気象庁等と連携し、伝統的な農業知識と最先端の科学とを組み合わせて実施しています。

農民たちが、気象に関する基礎的な知識を習得し、日々の農業活動を長期的な視点で取り組んでいけるようにすることを目的としています。


以前、インドネシア・バリ島のほとんどの農家は、伝統的な暦や日々の観測、テレビ等を通じて、農業活動に係る計画を立てていました。

しかし、こうした手段は、長期的な解決策としては信頼性が低く、有効的とはいえません。

現地農家であるPak Ketutは、近隣のカカオの生産量が以前よりも著しく減少しており、コーヒー農家もカカオ農家も、気候変動が作物の収穫に与える影響について対策を講じる必要性を感じていました。


「気候変動スクール」を受講した農家は、気象情報は農業活動に係る計画を立案する上で重要であると述べています。

現在、インドネシア気象庁への電話や、スマートフォンのアプリ等を通じて、簡単に気象情報を得ることが可能になっています。

カカオ農家やコーヒー農家は、気候情報を活用することで、将来の気候変動の影響を予測し、農作物の生産性向上に向けた活動を行えるようになっています。



2018年に、第1回の「気候変動スクール」を、バリ島のジェンブラナでコーヒー農家とカカオ農家を対象に実施しました。
スクール実施後、コーヒー農家のPak Cakraにヒアリングを行うと、彼は気候変動の農作物に与える影響について非常に明快に説明してくれました。 また、2019年6月には、東ヌサ・トゥンガラ州クパンのコーヒー農家とカカオ農家を対象に、「気候変動スクール」を実施しました。
このスクールには、フローレス島バジャワのコーヒー農家とカカオ農家も参加しました。
インドネシア気象庁の担当者であるApolinaris Geruは、「バジャワコーヒーは世界的に有名です。バジャワコーヒーを支援するため、カカオとコーヒーの品質と生産性の確保に向けた気候情報の利用をサポートしていきたい。」と述べています。
研修実施後、そのフォローアップとして2019年8月から9月の間、インドネシア気象庁の担当者等がバジャワのコーヒー農家とカカオ農家を訪問し、気候変動を起因としたコーヒーの品質や市場価格、収入への影響についてヒアリングしました。 2019年10月には、バリ島のプラガにて「気候変動スクール」を実施した他、2020年9月には、新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインにてスクールを実施しています。 今後は、インドネシアでの地元の方々からの寄付の募集も併せて、「気候変動スクール」の実施拡大を図っていきたいと考えています。